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先日行ったカフェ&プレスのなかで、話題にしたのは掲載写真のこの展覧会のことでした。日本の写真状況の1970年代において流行った「コンポラ写真」の原点になった展覧会カタログ。直訳で「今日の写真家たち、社会風景に向かって」展、ネイサンライオンズ編集の五人展でした。この写真展は1966年に、ニューヨーク州イーストマンハウスにて開催された写真展です。そのカタログが日本に入ってきて、写真家、写真愛好者らに興味を持って受け入れられたという。コンポラ、その内容について、少しは勉強しておかないと、いま、写真について、語れないよなぁ。このように思う次第で、ぼくが提案して呼びかける<カフェ&プレス>の最初の勉強会テーマです。
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この写真展に出品する5人の写真家は、1930年代の生まれのようだから、1966年当時は30代の男子です。2018年の今から俯瞰してみると、その前、その後、その横つながり、いろいろな視点から、その時代というものが語れるのではないかと思います。半世紀が過ぎた今ですから、世界構造や社会環境が大きく変わっていて、まさに歴史として定着させる距離になっていると思うのです、なおかる今に至る、今の原点が少なからずそこにあるようにも思えるのです。そもそも、写真の制作態度とか被写体選びとか、作者のその時代の立ち位置とか、テーマそのものが、それまでとは違って、同時代の人の共感を持つ感覚的なこと含め、新しい内容を呈しているものであろうと思うのです。1966年、これを記述しているぼくは、1946年生まれだから20歳のときの展覧会です。自分史を捉え、自分の感覚と、その写真の感覚との整合性を見つめます。とはいっても、ぼくの居た環境と、五人の写真家が居た環境とは、違います。
(続く)