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あなたが織り成されたお話はぼくたちふたりの物語でした。あなたがおっしゃるには人間のエロスを自然の営みとしてきたものが文化なんですよということでしたね。
そうなんですね。エロスをどのようにとらえ乗り越えるかなんですね。こころに豊饒をもたらす力の象徴としてこころの核心にあるのがあなたであるように思われます。

その反対の極みにぼくたちがいるのでしょうね。あえてぼくはエロスのはざまを行き来する自身を見つめています。きっとあれらは神秘的な力が宇宙や人間の運命を支配しているという信仰なのですね。だからあの神秘的で呪術的なあれの力というのをぼくたちは共有したいんです。

しかしぼくたちが不幸だったのはあなたを意識することもないままに神秘的で如術的な力の特異ななかに収斂されてきたことでした。ぼくたちが苦境におちいったあのときですね。あれに憑かれてしまったのは。花の精が持っていた霊力が苦闘するぼくたちの寂寥を癒しはじめていたのです。

ぼくたちのからだは表情豊かな花の精と同じでなければならないと思っています。ぼくたちのデリケートで微細なからだはすべての臓器と器官によって感知され知覚されています。それらは生き生きとして存在しています。そのうえ柔らかくてかすんでいるようですがその風景はぼくたちの豊かな意味を創生するように満ちています。

ぼくたちのゆたかな表情は詩であり音楽であるようなエロスの表現だと感じています。ぼくたちのエロスは感情や気分と深く結びついていてセクシュアルに美しいと思っています。あなたに見守られたぼくたちは感情や想像力を喚起してきます。これがぼくたちのからだの根本であるはずです。

ぼくたちの魂は時間と空間から自由になることを求めているのですよ。ほら深~く感じてごらん。魂は日常の生活から逸脱を必要としているのです。この逸脱は他の次元、永遠の次元、不滅の次元、神話的な次元、等々との結びつきを求めています。

ぼくたちは魂が神秘の愛を渇望していることをもう知ってしまったのです。花の精との交合を含む物質の世界が永遠なる精の風景への道となるのですよね。ぼくたちが愛し合うときにはきっとそれらが立ち現れてくるのですよね。

ぼくたちの魂は永遠なる領域に存在することを求めています。深~い感情や高~い願望という垂直的な次元のなかに魂とのつながりを求めています。ぼくたちの日々の行為はあれの儀式のように活動させようと思ってます。その儀式は魔術のようにそこに存在する精をたちあがらせようとする儀式でなければなりませんね。

ぼくたちが深~い直感と想像に導かれて愛し合うときってからだもこころもすべての営みによって快楽を得ることです。またそれだけではなくてぼくたち自身であることをも忘れて恍惚にあふれるのです。そしてあたたかい夢の雲の中へと運ばれていくのをも忘れて恍惚にあふれるのです。そしてあたたかい夢の雲の中へと運ばれていくのです。

ぼくたちのからだの中にあるエロスは全宇宙を結びつける磁力ではないでしょうか。愛することってその大いなるエロスへの入り口ですよね。からだとこころが誘惑や欲望と共振して生きること。その魂を捜し求めること。ぼくたちが深~い方法で知りあうこと。新しい仕方で生きることを知ること。特別なやり方であなたのいちばん深~い恍惚を感じること。

それはからだとこころと情動が結合されたもの。愛し合っているぼくたちによって感じられ理解される意味深~い結びつきであること。宇宙をひとつに結びつける偉大な磁力であり精であること。これはぼくたちとあなたがひとつになること。創造的で愛に動機つけられた生となること。

生にはいつも逸脱が含まれています。でも逸脱することがなければ決して行為の完全な達成という自由の感覚を得ることってないのかも知れないな。

ぼくって本質的に悪であり罪であるという「恐れ」にぴったりと寄り添う生き方をこれからも模索していきます。

逸脱とはぼくたちが生命体としてもっているエロスの欲望の深みで「美」や「純粋さ」というものを探し求めているくことなのかも知れないな。花の精はぼくを魂それ自体の美しさに導いてくれる。そこでは充足と空虚とを同時に感じることかもしれません。でもこれが自然にあることです。自然のリズムに身をゆだねて生きることですね。

花物語(終)2004.2.1

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